鯉太郎が五月場所で王虎を下し幕下優勝を果たしてから、5年以上の月日が流れた。前頭下位となった鯉太郎は人気力士としてファンに愛されるようになり、その実力も真っ向勝負で大関をねじ伏せるほどまでに成長していた。しかしその一方で、幕内力士として非常に小柄な体格と太りにくい体質、どんな相手とも全力で真正面からぶつかってゆくスタイルのためにその体は満身創痍、休場も珍しくなくなっていた。これが最後の土俵かもしれないという悲壮な覚悟を常に抱きながら、鯉太郎は土俵に上がり続ける。

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